原点回帰
うどんチェーン店として全国展開している「丸亀製麺」はみんな知っていると思います。
うどん店は利益率も高く、儲かっていると思ってましたが、最近は経営不振に陥っていたようです。
しかし、深刻な客離れから一転、急速な業績回復を遂げているそうです。
「丸亀製麺」は2000年に1号店を開店以降、全国に800店舗以上展開しています。
しかし去年から客足が鈍り、毎月、前年割れが続く状態になっていました。
「一生懸命やってきたが、少しお客様の思いとかけ離れたところが出てきたのではないかと。」
社長が感じたそうです。
そこで、助けを求めたのが、森岡毅さんでした。
この森岡さんは、USJを数年でV字回復させた事で一躍有名になりました。
後ろ向きコースターやハリーポッターなどを導入した手腕はすごく、TVにもたくさん出演されて覚えていました。
今はUSJを退任し、自分でマーケティング支援会社を立ち上げたそうです。
森岡さんは実際に週に1回はどこかの店舗に実際にお客として食べに行き、お客目線で仕事ぶりをみていたそうです。
そこで感じたのは気になったのは天ぷらの提供の仕方です。
「空いたスペースに揚げた天ぷらを埋めていくのが仕事ではない。
それは仕事ではなく作業。
作業をしたらだめで、本当はアツアツの天ぷらを消費者の口に放り込むという情熱をもって仕事をすると、『揚げたてですよ!』と、”先に揚げたものがあっても、今揚げたてのものをお客様のお皿に入れる”くらいのつもりでお客さんを見てほしい。」
天ぷらを並べることは“作業”
アツアツの天ぷらを提供することが“仕事”
という事です。
このちょっとした気付きは800の全ての店で共有され、お客の満足度の向上に繋げられました。
そして、丸亀製麺の調査から見えてきたのは、こだわりゆえの“非効率”でした。
丸亀製麺は当初からお店で打ちたての麺を提供するスタイルをとっています。
しかし、打ちたての味を支えていたのは合理化とは程遠い効率の悪さでした。
通常であれば、丸亀製麺の規模であれば、まとめて作った方が原価を抑えられ、利益率が上がる。
これを『チェーンストア理論』と言います。
多くのチェーンで採用されているのは、拠点となる工場を造りそこから各店舗に配送するシステム。個々の店で作るより経費が圧縮でき、丸亀製麺のように店の数が多ければ多いほどスケールメリットがあります。
本来ならこれを効率化して、利益を出す仕組みにするのが通常ですが、森岡さんは違いました。
『どの店でも手作り』という“非効率”こそブランドの価値であり、優位性だと考えたのです。
しかも調査すると、このこだわりの手作りだと認知しているのが30%程度だった事です。
そして制作された丸亀製麺のCMでは“すべての店で粉からうどんを作っている”という、
うどんそのものの魅力を訴えたところ、その効果はてき面で、16か月連続で前年割れを
続けていた客数がV字回復し、売上も着実に伸び続けているといいます。
森岡さんとタッグを組んでわずか9か月のスピード再生です。
こういう点が欠けている、見失っているよというところが何なのかという事を気付かせてもらった。
原点回帰。
これが丸亀製麺の復活の言葉でした。
長年続くと自分たちではわからない歪みみたいなものが会社でも出てくるもんだと思いました。
原点回帰じゃないですが、自分たちの足元をしっかりみて。
頑張っていければと思いました。